NTT(9432)投資分析レポート
国内通信の安定収益を土台に、グローバルIT、データセンター、IOWN、AIへと成長投資を広げる大型ディフェンシブ株。高い流動性と増配継続姿勢、100株から買いやすい価格帯が個人投資家にも人気です。
1. ひと目で分かる投資判断
NTTの魅力は、通信・インフラ由来の安定キャッシュフローと、AI・データセンター・IOWNへの成長投資を同時に持つ点です。株価水準は大型株としては過熱感が強くなく、予想PER13倍台、配当利回り3%台後半ではなく3.38%と、インカム投資の観点でも引き続き有力候補です。
短期で大きく跳ねる銘柄というより、長期保有で配当と事業進化を取りにいくタイプ。2025年度は業績下方修正があったものの、Q3累計では増収増益を維持しています。
2. 会社概要
NTTは日本を代表する通信持株会社で、地域通信、総合ICT、グローバル・ソリューション、データセンター、不動産・エネルギーなど幅広い事業を展開しています。従来の固定・移動通信だけでなく、法人DX、クラウド、システムインテグレーション、グローバルITサービスまでカバーする点が特徴です。
地域通信
固定回線・光回線などの基盤事業。成熟産業ですが、安定収益の源泉としてグループ全体を支えます。
総合ICT
モバイル、法人通信、デジタルサービスを含む中核領域。国内収益の土台として重要です。
グローバル・ソリューション
NTTデータを中心に、海外ITサービスやDX支援を拡大。今後の成長ドライバーです。
3. 直近の株価指標
| 項目 | 数値 | 見方 |
|---|---|---|
| 株価 | 157円 | 100株でも約1.57万円と買いやすい |
| 時価総額 | 14,216,400百万円 | 国内屈指の大型株 |
| 予想PER | 13.42倍 | 高成長株ほど高くなく、割高感は限定的 |
| 実績PBR | 1.35倍 | ブランド力・収益安定性を反映 |
| 予想配当利回り | 3.38% | 大型株の中では高め |
| EPS / BPS | 11.70円 / 116.37円 | 2026/3予想EPS、直近BPS |
| ROE / 自己資本比率 | 9.97% / 34.0% | 収益性は良好、財務は銀行連結後も一定水準 |
4. 過去5期の業績推移
| 期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 最終利益 | EPS | 配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | 12,156,447 | 1,768,593 | 1,795,525 | 1,181,083 | 13.2円 | 4.6円 |
| 2023/03 | 13,136,194 | 1,828,986 | 1,817,679 | 1,213,116 | 13.9円 | 4.8円 |
| 2024/03 | 13,374,569 | 1,922,910 | 1,980,457 | 1,279,521 | 15.1円 | 5.1円 |
| 2025/03 | 13,704,727 | 1,649,571 | 1,564,696 | 1,000,016 | 12.0円 | 5.2円 |
| 2026/03予 | 14,164,000 | 1,660,000 | 1,550,000 | 965,000 | 11.9円 | 5.3円 |
単位は百万円、EPS・配当は円。NTTは大規模な株式分割を実施しており、古いBPSの単純比較には注意が必要です。
5. 2025年度第3四半期の進捗
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 営業収益 | 10,421,038百万円 |
| 営業利益 | 1,457,145百万円 |
| 親会社帰属四半期利益 | 926,060百万円 |
| 通期予想の修正 | あり |
2025年度第3四半期累計では、グローバル・ソリューション事業の伸びが寄与し、連結では増収増益を確保しました。一方で、通期予想は修正されており、会社側も足元の利益見通しには慎重姿勢を示しています。
6. セグメント別に見る収益源
| セグメント | 外部顧客向け売上高 | セグメント利益 | コメント |
|---|---|---|---|
| 総合ICT | 4,449,652百万円 | 745,387百万円 | 国内通信・ICTの稼ぎ頭 |
| グローバル・ソリューション | 3,470,032百万円 | 384,204百万円 | 法人DX・海外ITサービスが牽引 |
| 地域通信 | 1,859,356百万円 | 303,248百万円 | 安定収益の土台 |
| その他 | 641,998百万円 | 54,656百万円 | 不動産・エネルギーなど |
グローバル・ソリューション事業の存在感が高まっており、「通信会社」から「総合ICT・インフラ企業」へシフトが進んでいます。
7. 配当・株主還元
| 年度 | 1株配当 | コメント |
|---|---|---|
| 2022/03 | 4.6円 | 増配基調 |
| 2023/03 | 4.8円 | 継続増配 |
| 2024/03 | 5.1円 | 増配 |
| 2025/03 | 5.2円 | 増配 |
| 2026/03予 | 5.3円 | 15期連続増配予定 |
NTTは継続的な増配を基本方針とし、自己株式取得も機動的に実施しています。2024年度までに累計約5.7兆円の自己株取得を行い、2025年度も上限2,000億円の取得枠を設定しました。
8. 株主優待
NTTは100株以上保有の株主を対象に、保有期間に応じてdポイントを進呈しています。毎年もらえるタイプではなく、一定の保有年数に達したタイミングで付与される方式です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 2025年3月31日 |
| 対象 | 100株以上保有 |
| 2年以上3年未満 | 1,500ポイント |
| 5年以上6年未満 | 3,000ポイント |
| 最大進呈 | 同一株主番号で合計4,500ポイント |
低い最低投資金額に対して優待制度があるため、個人投資家にとって保有しやすい設計です。
9. 中期経営戦略の注目点
成長投資 5年で約8兆円
2023〜2027年度の5年間で、DX・データ利活用、データセンター、パーソナルビジネス、循環型社会、IOWNなどへ大型投資を実施します。
データセンターに1.5兆円超
生成AI需要を取り込むため、世界3位規模のデータセンター事業をさらに拡張。インフラ需要の追い風が強い領域です。
IOWN・AIを次の柱に
純国産LLM「tsuzumi」や次世代光通信基盤IOWNを核に、新たな価値創造を狙います。
中計で掲げる大枠
- 2027年度にEBITDAを2022年度比20%増の4兆円へ
- 成長分野への投資を継続しつつ、キャッシュ創出力を高める
- 「新たな価値の創造」「CX高度化」「EX高度化」の3本柱で推進
10. NTTの強み
① 通信インフラの安定収益
景気変動の影響を受けにくい通信・回線収入がベースにあるため、利益の下支えが強いです。
② 成長分野の選択肢が多い
AI、データセンター、法人DX、グローバルITなど、次の成長エンジン候補が複数あります。
③ 個人投資家にやさしい
100株約1.6万円で投資可能、配当利回り3%台、dポイント優待もあり、長期保有しやすい銘柄です。
11. 注意すべきリスク
① 通期見通し修正
Q3累計は堅調でも、通期予想には修正が入っており、利益成長の鈍化には注意が必要です。
② 巨額投資の回収タイミング
データセンターやIOWNは先行投資色が強く、収益化に時間がかかる可能性があります。
③ 規制・競争環境
通信料金政策、法人IT競争、海外事業の採算変動など、規模の大きい企業特有の外部要因があります。
12. こんな投資家に向く
- 配当を重視する長期投資家:増配継続姿勢と3%台の利回りが魅力
- 大型安定株をコアにしたい投資家:市場急変時の守備力が比較的高い
- AI・データセンターの成長も取り込みたい投資家:テーマ性も一定ある
13. 総合評価
NTT(9432)は、安定配当・高い流動性・成長投資の3点がそろった大型優良株です。短期では業績見通しの修正や投資負担が株価の重しになる局面もありますが、長期目線では通信の土台収益に加え、データセンター・AI・IOWNといった将来テーマを持つ点が大きな魅力です。配当を受け取りながら中長期で保有する「守りと成長のバランス型」として、依然有力な選択肢といえます。
参考ソース
- Yahoo!ファイナンス NTT(9432)
- 株探 NTT(9432)業績・財務推移
- NTT公式 株主さまへのdポイント進呈
- NTT公式 中期経営戦略
- 2025年度 第3四半期決算短信(IFRS)
- NTT IRプレゼンテーション
本レポートは公開情報をもとに作成した参考資料であり、投資勧誘を目的とするものではありません。数値は取得時点のもので、最新開示で変動する場合があります。

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