ソフトバンクグループ(9984)投資分析レポート
ソフトバンクグループは、通信株ではなく「AI投資会社」として見るべき銘柄です。Arm、OpenAI、ビジョンファンド、アリババ関連資産、そしてNAVディスカウントが株価評価の中心で、配当よりも資産価値と投資テーマで判断するタイプです。
1. ひと目で分かる結論
ソフトバンクグループの投資判断は、営業利益や配当ではなく、NAV(時価純資産)・LTV(純負債比率)・AI戦略の実現性で考えるのが基本です。2026年3月期第3四半期では純利益が大幅に改善し、OpenAIへの追加出資やStargate、Armの成長がテーマ性を押し上げています。一方で、業績の振れ幅は極めて大きく、ハイリスク・ハイボラティリティな大型株でもあります。
SBGは一般的な事業会社というより、保有資産の束とその将来価値を評価する銘柄です。短期では株価変動が大きい一方、AI時代の中核資産を握る可能性に賭ける投資対象でもあります。
2. 会社概要
ソフトバンクグループは投資持株会社であり、主要資産としてArm、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、ソフトバンク株式会社株式、各種上場・未上場投資先を保有しています。近年は「ASI(人工超知能)時代」に向けた投資会社への転換を鮮明にし、OpenAIやAIインフラ分野への大型投資を前面に打ち出しています。
Arm
半導体IPの中核資産。AIサーバーやエッジ分野の拡大に伴い存在感が増しています。
ビジョンファンド
未上場・成長企業への投資リターンが株価変動を大きく左右します。
AIインフラ投資
OpenAI、Stargate、デジタルインフラ投資など、次の成長ストーリーの中心です。
3. 最新の株価指標
| 項目 | 数値 | 見方 |
|---|---|---|
| 株価 | 3,558円 | 100株で約35.6万円 |
| 時価総額 | 20,322,756百万円 | 国内でも最大級の大型株 |
| 実績PBR | 1.30倍 | BPSに対しては大きな割高ではない |
| 配当利回り | 0.31% | 配当狙いの銘柄ではない |
| 1株配当 | 11.00円 | 2026/03会社予想 |
| BPS | 2,744.22円 | Yahoo!ファイナンス実績 |
| ROE / 自己資本比率 | 10.15% / 25.7% | 収益回復でROE改善、財務はやや攻め型 |
| 単元株数 | 100株 | 最低購入代金は約35万円台 |
Yahoo!ファイナンスでは予想PER・予想EPSが非表示で、一般的なPER評価がしづらい点もSBGらしい特徴です。
4. 過去5期の業績推移
| 期 | 売上高 | 経常利益 | 最終利益 | EPS | 配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022/03 | 6,221,534 | -869,562 | -1,708,029 | -254.7円 | 11円 |
| 2023/03 | 6,570,439 | -469,127 | -970,144 | -163.1円 | 11円 |
| 2024/03 | 6,756,500 | 57,801 | -227,646 | -42.8円 | 11円 |
| 2025/03 | 7,243,752 | 1,704,721 | 1,153,332 | 195.2円 | 11円 |
| 2026/03予 | — | — | — | — | 11円 |
単位は百万円、EPS・配当は円。SBGは投資損益や評価損益の影響が大きいため、通常の事業会社のような安定的利益推移にはなりません。
5. 財務と資産価値の見方
| 年度 | BPS | 自己資本比率 |
|---|---|---|
| 2023/03 | 5,888.94円 | 20.6% |
| 2024/03 | 7,479.43円 | 23.9% |
| 2025/03 | 7,905.39円 | 25.7% |
| 2025/12末 | — | 28.1% |
2025年12月末時点で、NAVは30.9兆円、LTVは20.6%、手元流動性は3.8兆円です。SBGでは、会計利益よりも「保有資産価値に対してどれだけ借金をしているか」の方が投資判断に直結します。
6. 2026年3月期 第3四半期ハイライト
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 売上高(Q1-Q3累計) | 5兆7,192億円 |
| 純利益(Q1-Q3累計) | 3.17兆円 |
| NAV | 30.9兆円 |
| LTV | 20.6% |
| 手元流動性 | 3.8兆円 |
2026年3月期第3四半期は、OpenAI出資や投資資産評価の押し上げにより、純利益が大幅に改善しました。ただし、この利益は本業の積み上げというより、投資リターンの影響が大きい点を理解しておく必要があります。
7. Armの存在感
ArmはSBGの中核資産であり、AI時代における計算基盤の重要プレーヤーです。2025年度Q3のArmは、売上高1,242M USD(前年同期比26%増)、調整後営業利益505M USD(前年同期比14%増)と好調でした。AIサーバー、エッジ、モバイルを横断してArmの設計資産が広がるほど、SBGの資産価値評価にも追い風になります。
8. AI戦略の中核:OpenAI・Stargate・ASI
OpenAI持分 約11%
追加出資を完了し、OpenAIを成長戦略の柱に据えています。
Stargate推進
OpenAI、SBG、SB Energyの戦略提携でAIインフラ構築を前進させています。
ASI時代を標榜
孫正義氏は「ASI時代」への布石としてAI関連投資を加速しています。
補足
- DigitalBridge買収を発表し、デジタルインフラ投資も強化
- Armを中核に、AIハード・ソフト・インフラ全体への布陣を構築
- テーマの実現性が高まれば、NAV評価の見直し余地も生まれる
9. 株主還元
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間配当予想 | 11.0円 |
| 配当利回り | 0.31% |
| 中間 / 期末 | 5.5円 / 5.5円 |
| 配当スタンス | 安定配当だが高配当ではない |
SBGは配当を厚くする会社ではなく、むしろ自己株式取得による株主価値向上を重視してきました。2024年8月8日〜2025年8月7日の枠では、4,203万株・3,303億円の取得実績があります。
10. 株主優待の有無
ソフトバンクグループ(9984)は、現在株主優待制度はありません。過去に実施していた優待制度は、2019年3月末株主向けプログラムを最後に終了しています。したがって、SBGは「優待株」ではなく、資産価値と成長ストーリーを評価して保有する銘柄です。
11. 投資妙味
① NAVディスカウントの可能性
市場が保有資産価値を十分に織り込んでいない局面では、株価見直し余地が生まれます。
② AIテーマの本命格
Arm、OpenAI、AIインフラ投資を束ねる存在として、国内では希少なポジションです。
③ 自社株買いの下支え
配当利回りは低い一方、機動的な自社株取得が株主価値の向上に寄与します。
12. リスク要因
① ボラティリティが非常に大きい
保有資産の時価変動で四半期損益が大きくぶれるため、値動きは荒くなりやすいです。
② AI投資の回収不確実性
OpenAIやStargateは期待が大きい反面、投資額も巨額で、収益化のタイミングは不透明です。
③ 財務レバレッジ
LTVは現状20.6%と管理範囲ですが、大型投資の積み上がり次第では警戒感が強まる可能性があります。
13. 総合評価
ソフトバンクグループ(9984)は、配当や安定業績を求める銘柄ではなく、AI時代の資産価値上昇に賭ける大型テーマ株です。ArmやOpenAIを中核に据えた戦略は非常に魅力的で、NAVの大きさも投資家の期待を支えます。一方で、投資損益依存の強さから業績変動は大きく、値動きに耐えられる投資家向けです。中長期で「AI資本市場のハブ」になれるかが、今後の評価を左右します。
参考ソース
- Yahoo!ファイナンス ソフトバンクグループ(9984)
- 株探 ソフトバンクグループ(9984)業績・財務推移
- ソフトバンクグループ IRトップ
- 2026年3月期 第3四半期 決算ページ
- 2026年3月期 第3四半期 決算プレゼン資料
- 株主優待制度(終了案内)
- 自己株式の取得
本レポートは公開情報に基づく参考資料であり、投資勧誘を目的とするものではありません。数値や評価は取得時点の情報をもとにしており、最新開示で変動する可能性があります。

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