SOMPOホールディングス(8630)投資分析レポート
国内損保の収益改善と海外保険の伸長を両輪に、2026年3月期は過去最高益見通しへ上方修正。政策株式の縮減と大型自己株取得を組み合わせた資本効率改善も評価ポイントです。
作成基準日: 2026年3月24日
結論
SOMPOホールディングスは、国内損保の料率改定・自然災害負担の落ち着き・資産運用改善に加え、海外保険事業の拡大で利益成長が加速している局面です。2025年度第3四半期時点で修正連結利益は3,469億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5,183億円まで積み上がり、通期見通しも修正連結利益4,800億円、親会社利益5,800億円へ上方修正されました。市場では保険株に対して資本効率改善と株主還元の強化が重要視されていますが、SOMPOは政策株式の売却加速と自己株取得を実行しており、その文脈でも評価しやすい銘柄です。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
一方で、損保は自然災害や自動車保険収支、規制対応、金利・株式市場など外部要因の影響も受けやすい業種です。したがって本銘柄は「安定ディフェンシブ」としてだけでなく、「保険引受改善+資本政策+還元強化」で評価するのが適切です。
株価指標サマリー
出所: Yahoo!ファイナンス [Source](https://finance.yahoo.co.jp/quote/8630.T)
会社概要
SOMPOホールディングスは、国内損害保険を中核に、海外保険、国内生命保険、介護・シニア事業まで展開する大手保険グループです。統合レポートでは、保険金支払いだけにとどまらず、安心・安全・健康に関わる価値提供を広げる「パーパス実現」に向けた戦略が示されており、保険以外のウェルビーイング領域も中長期の成長テーマとして位置付けています。 [Source](https://www.sompo-hd.com/ir/data/disclosure/hd/)
- 国内損害保険(損保ジャパン)
- 海外保険
- 国内生命保険
- 介護事業
直近業績の見どころ
2025年度第3四半期の修正連結利益は3,469億円で前年同期比1,111億円増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5,183億円で同2,674億円増となりました。第3四半期時点で通期会社計画に対する進捗は高く、会社は修正連結利益を4,800億円、親会社利益を5,800億円へ上方修正しています。いずれも過去最高益更新を狙う内容です。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
| 項目 | 2025年度3Q累計 | ポイント |
|---|---|---|
| 修正連結利益 | 3,469億円 | 前年同期比 +1,111億円 |
| 親会社利益 | 5,183億円 | 前年同期比 +2,674億円 |
| 通期修正連結利益予想 | 4,800億円 | 11月予想比 +400億円 |
| 通期親会社利益予想 | 5,800億円 | 11月予想比 +400億円 |
増益の主因は、国内損保での発生保険金の下振れや火災保険ベース収支の改善、海外保険での堅調な引受と資産運用収益の拡大です。保険会社は自然災害の有無で利益が大きく振れますが、今回はそれが追い風になりました。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
セグメント別の注目点
- 国内損保:修正利益1,310億円。自動車・火災保険の商品改定、自然災害減少、ベース収支改善が寄与。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
- 海外保険:修正利益1,814億円。コマーシャル・コンシューマーの両部門で保険引受が堅調、運用も追い風。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
- 国内生保:修正利益457億円。保険金支払いが想定を下回ったことなどで堅調。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
- 介護:修正利益99億円。利用者数増加と生産性向上で人件費増を吸収。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2025/ir_20260213.pdf?la=ja-JP)
通期業績と過去推移
株探ベースでは、売上高は2022年3月期の4兆1,674億円から2025年3月期の5兆4,537億円へ拡大しており、保険グループとしての規模成長は継続しています。利益面は年度ごとの振れがあるものの、2026年3月期は最終利益5,800億円見通しと大幅回復・更新を見込んでいます。 [Source](https://kabutan.jp/stock/finance?code=8630)
| 期 | 売上高 | 経常利益 | 最終利益 |
|---|---|---|---|
| 2022/3期 | 4兆1,674億円 | 3,155億円 | 2,248億円 |
| 2023/3期 | 4兆5,258億円 | 495億円 | 264億円 |
| 2024/3期 | 4兆9,336億円 | 4,880億円 | 4,160億円 |
| 2025/3期 | 5兆4,537億円 | 3,302億円 | 2,431億円 |
| 2026/3期予想 | 非開示 | 非開示 | 5,800億円 |
保険会社は会計基準や有価証券評価、災害発生状況などの影響で単年度の振れが大きくなるため、四半期の上振れだけでなく、中期的な資本効率改善と還元方針の継続性が重要です。
中期経営計画の評価
SOMPOの2024〜2026年度中期経営計画では、2026年度の修正連結ROE13〜15%、中計期間の修正EPS成長率年率12%超を掲げています。単なる利益拡大ではなく、資本効率の水準をグローバル同業並みに引き上げることを明確に打ち出している点が投資家にとって重要です。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2024/20240528.pdf)
- 政策株式は2030年度までにゼロ化を目指し、中計3年間で最低6,000億円削減、2024年度は2,000億円以上を計画。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2024/20240528.pdf)
- 国内損保は事業別ROE8%以上、海外保険は13%以上、生保・介護は12%以上を目標。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2024/20240528.pdf)
- ESRターゲットレンジ上限を250%へ引き下げ、余剰資本の還元余地を明確化。 [Source](https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2024/20240528.pdf)
大型保険株の投資魅力は「高配当」だけでは差別化しにくくなっています。その中でSOMPOは、政策株式の縮減・自己株取得・ROE改善という東証の資本効率改革テーマに正面から乗っているのが強みです。
株主還元
SOMPOの株主還元方針は比較的明快です。基礎還元として修正連結利益の3か年平均50%をベースに、政策株式売却損益等(税後)の50%を原則追加還元するとしています。また、リスクと資本の状況、業績動向などを踏まえながら自己株取得も機動的に実施しています。 [Source](https://www.sompo-hd.com/ir/stock/return/)
自己株取得は近年も大型化しており、2024年11月27日〜2025年5月19日に1,550億円、2025年6月2日〜2025年11月18日に1,050億円、2025年12月1日〜2026年3月31日に770億円上限の取得枠が示されています。資本政策の継続性という観点では安心感があります。 [Source](https://www.sompo-hd.com/ir/stock/return/)
なお、株主優待はありません。個人投資家向けの魅力は優待ではなく、配当と自己株取得を軸にした総還元で評価すべき銘柄です。 [Source](https://finance.yahoo.co.jp/quote/8630.T/incentive)
投資視点での強みと注意点
強み
- 国内損保の収益改善と海外保険の成長が同時進行している。
- 2026年3月期は過去最高益見通しへ上方修正済み。
- 政策株式売却と自己株取得を通じて資本効率改善が進みやすい。
- 中計でROE13〜15%を掲げ、経営のKPIが明確。
注意点
- 自然災害の発生状況で損保利益が大きく振れる可能性がある。
- 自動車保険・火災保険の収支改善が一巡すると利益成長率は鈍化しうる。
- 規制対応や国内損保業界のガバナンス強化コストが重荷になる可能性がある。
- 金利・株式市場・為替の変動が運用損益や自己資本に影響する。
総括
SOMPOホールディングスは、単なる高配当保険株というより、「国内損保の収益正常化」「海外保険の成長」「政策株式縮減」「自己株取得拡大」という複数の評価軸を持つ大型株です。予想PER9倍前後、PBR1倍近辺という水準は、今後のROE改善が継続するならなお見直し余地があります。特に、保険株の中でも資本効率改善を重視する投資家にとっては、注目継続に値する銘柄といえます。

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