本田技研工業 7267

本田技研工業(7267)投資分析レポート

本田技研工業(7267)投資分析レポート

作成日: 2026-04-08 / 東証プライム / 輸送用機器

本田技研工業は、四輪メーカーの印象が強い一方で、実際には世界最大級の二輪事業、金融サービス、パワープロダクツまで抱える総合モビリティ企業です。足元ではEV戦略見直しの一過性費用が利益を圧迫していますが、二輪の圧倒的な強さ、安定配当方針、自己株消却を含む還元姿勢により、高配当・低PBRの大型株として注目を集めています。

参考株価
1,283.5円
時価総額
約5.82兆円
予想配当
70円
予想配当利回り
5.45%
PBR
0.40倍
予想PER
算出なし

結論: ホンダは「高配当の割安株」だが、評価の分かれ目は四輪の立て直し

ホンダ株の見方は比較的明快です。二輪事業が非常に強く、配当利回りは高く、PBRは0.4倍と極めて低い。一方で、四輪事業はEV市場環境の変化と一過性費用の影響で大きく落ち込み、全社利益を押し下げています。そのため現状は「高配当で割安だが、四輪の不透明感を市場が織り込んでいる銘柄」と整理できます。二輪の強さだけを見ると過小評価にも映りますが、四輪の収益回復が見えない限り、バリュエーション訂正のスピードは限定される可能性があります。

最新業績の要点

項目2026年3月期 第3四半期累計前年同期比
売上収益15兆9,756億円2.2%減
営業利益5,915億円48.1%減
税引前利益7,717億円37.0%減
親会社所有者帰属四半期利益4,654億円42.2%減
親会社持分比率37.9%前期末40.1%から低下

売上収益は15.98兆円と高水準を維持しましたが、営業利益は大幅減益でした。最大の要因は、北米・欧州でのEV需要鈍化、政策変化、アジアでの競争激化を踏まえた戦略見直しに伴う一過性費用の計上です。決算短信では、EV関連の開発中止や製造終了に伴う損失など合計約2,793億円の影響が示されており、これが今期利益を大きく押し下げました。

2026年3月期 通期会社計画
  • 売上収益: 21兆1,000億円
  • 営業利益: 5,500億円
  • 税引前利益: 6,200億円
  • 親会社所有者帰属当期利益: 3,000億円
  • 年間配当予想: 70円(中間35円、期末35円)

セグメント別に見るホンダの強みと弱み

二輪: いまのホンダを支える稼ぎ頭

二輪事業は、インドやブラジルを中心に販売が堅調で、第3四半期累計では販売台数1,644万台、営業利益5,465億円、営業利益率18.6%と、販売台数・利益・利益率のいずれも過去最高を記録しました。ホンダの投資判断で最も重要なのは、四輪ではなくこの二輪事業です。世界的に見ても圧倒的な競争力を持ち、景気耐性と新興国需要の両面で強みがあります。

四輪: 最大の懸念材料

四輪事業は、関税影響やEV関連の一過性費用2,671億円が重く、1,664億円の営業損失となりました。販売台数は256.1万台ありますが、利益面で大きな逆風です。市場がホンダ株を低PBRで放置している背景には、この四輪の不透明感が色濃くあります。今後は北米を中心とした商品力、ハイブリッド戦略、EV投資の最適化が評価回復の焦点です。

金融サービス: 下支え役

金融サービス事業は2,180億円の営業利益を確保しました。販売金融は景気変動の影響を受ける面もありますが、自動車メーカーの収益安定化に寄与しやすく、四輪販売を下支えする機能も担っています。

パワープロダクツ: 規模は小さいが補完的

パワープロダクツ事業は65億円の営業損失となりました。全社業績に与える影響は限定的ですが、ホンダが単なる自動車会社ではなく、幅広いモビリティ・動力製品群を持つ企業であることを示すセグメントです。

株主還元はかなり魅力的

ホンダは株主還元方針を明確にしており、従来の連結配当性向30%目安に加え、2026年3月期以降はDOE(調整後親会社所有者帰属持分配当率)3.0%を目安に、より安定的・継続的な配当を目指す方針です。年間配当予想は70円で据え置き。さらに、2026年2月には7億4,700万株、発行済株式総数の14.1%にあたる自己株式の消却を決議しており、還元姿勢はかなり強い部類に入ります。

株価1,283.5円ベースでは予想配当利回りは5.45%に達し、PBRは0.40倍です。市場は業績悪化を織り込んでいるとはいえ、二輪の収益力と高水準の配当を考えると、インカム投資家にとっては依然として魅力があります。

投資判断のポイント

  • 二輪事業が過去最高水準で、全社の利益を支える強固な柱になっている
  • 四輪はEV戦略見直しに伴う一過性費用で苦戦しているが、これが一巡すれば利益回復余地がある
  • DOE導入、70円配当維持、自己株消却により株主還元は強い
  • PBR0.40倍と低評価で、見直し余地はあるが、四輪の回復が前提条件

リスク要因

  • 四輪事業でのEV戦略の再構築が長引くリスク
  • 関税、為替、景気減速などグローバル外部環境の変動
  • 中国や新興国での競争激化
  • 自己資本比率の低下、有利子負債の増加傾向

総合評価

本田技研工業は、短期的には「減益決算の自動車株」ですが、中身を分解すると「世界最強クラスの二輪事業を持つ高配当割安株」とも言えます。四輪の不透明感が強いため市場評価は厳しい一方、二輪の強さ、DOE導入、自己株消却を含む還元姿勢は大きな魅力です。景気敏感株・自動車株としての難しさはあるものの、インカム重視かつ中長期で四輪の収益回復を待てる投資家には、検討余地のある銘柄です。

参考指標まとめ

指標内容
年間配当予想70円
予想配当利回り5.45%
PBR0.40倍
還元方針DOE 3.0%目安、自己株取得を機動的に実施
注目点二輪の過去最高益、四輪再建、自己株消却

出典

この記事を書いた人

やりがい搾取の航空会社で働く地上さんです
将来不安を解消するために株式投資に励んでます

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